2018年暮れにPayPayが実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」がまだ記憶に新しいところだと思います。気づいたら世の中にどんどんあふれていったキャッシュレスサービス。ネーミングもなんだか似たような「なんとかペイ」ばかりでよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
さらには「amazon以外のサイトで買い物をしたのにamazonのログイン画面がポップアップしてきてAmazon Payでの決済になった」「楽天決済で映画館の予約を取ったら楽天ペイから決済案内がきた」「iPhoneでSuicaを使えるように設定したらSuicaがApple Payに取り込まれてカードのSuicaは使えなくなった」等々、「キャッシュレスサービス?オンラインの決済サービスや、交通機関の決済システムのことではなくて?ショッピングサイトにクレジットカード情報を登録しておくのと何がちがうの?」といった風に、サービスが多岐に渡りすぎてしまい全貌がぼんやりとしたまま、混乱されている方も少なくはないのでしょうか。
今回のLE通信では、上記のような実体験も踏まえ、スマホ(iPhone/Android)で利用可能なキャッシュレスサービスについてまとめてみました。実店舗での決済ではなくオンライン決済サービスが含まれるサービスもありますので、このまとめが皆さまの理解の一助となれば幸いです。
今回は以下のサービスについて順を追って確認していきます。
まずはオンラインショッピングに縁が深い方々にとっては混乱をまねく要因のひとつである、楽天ペイとAmazon Payについてそれぞれ見ていきましょう。
Amazon Payはもともと、2015年5月にAmazonがサービスを開始したオンラインで買い物をする際の決済サービスの一種でした。スタート当時は「Amazonログイン&ペイメント」という日本独自の名称でしたが、2017年2月22日より他国と同じ「Amazon Pay」という名称に統一されています。
スタート当時は実店舗での利用はできず、ECのみでAmazonやAmazon以外の他社で買い物をした際に決済だけをAmazonが処理するというサービスだったのですが、2018年8月から実店舗でのQRコード決済が可能になりました。利用方法はAmazonの買い物にも使用しているアプリのメニューから「すべてを見る」を選んで「Amazon Pay」を開くだけです。新しいアプリをインストールする必要もなく、Amazonアカウントに紐づいているカードでの決済が可能になります。
「もともと実店舗では使用できなかった決済が後々利用可能になったことの認知度の低さ」と「実店舗利用については後発のためリアルで利用できる店舗が極々わずか」であることがAmazon Payの実態をわかりにくくしている大きな要因だと思われます。
AmazonPayの利用に際しては、EC決済での利用と実店舗での利用とでお申し込み方法が異なります。AmazonPay実店舗スマートフォン決済は、決済に使用するタブレットのレンタル元であるNIPPON Tabletへの申し込みになります。ECでAmazonPay決済を利用する場合にはAmazonのサイトからの申し込みになります。初期費用/月額費用/トランザクション料(通信処理費用)、振り込み手数料も無料なため、一決済手段として利用を開始する店舗も増加中です。手数料は取り扱いアイテムにより「デジタルコンテンツ以外(物理的商品・サービス等):4%」「デジタルコンテンツ:4.5%」になります。
次に楽天ペイを見てみましょう。
楽天ペイも元々は2012年12月6日から提供されている「楽天スマートペイ」という別名称のサービスでした。このサービスもやはり実店舗での決済に利用するのではなく、スマートフォン/タブレット端末(EC)でクレジットカード決済ができるという、国内の個人事業主や中小企業オーナー向けの決済サービスでした。このサービスが実店舗でも利用可能なユーザー向けスマホ決済アプリ「楽天ペイ」がリリースされたことを機に、2016年10月27日に「楽天ペイ」として名称が統一されたのです。
楽天の管理画面であるRMS上の受注管理画面の表示が、従来の「受注管理」と「受注管理(楽天ペイ)」の二種類に分かれたことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
出店者向けだった決済サービスが、「出店者」「顧客」双方に対するサービスに拡大され、名称も変更されたことから変更時には多少の混乱も発生しました。決済方法欄に楽天ペイと表示された顧客から「スマホ決済ではなくクレジットカード決済を選択したはずだ」といった問合せも増加しました。(現在表示方法は「クレジット」表記に改善されています)この名称変更によってややこしい事態が発生している認識は楽天にもあるのか、現在では各サービスの案内では「楽天ペイ(楽天市場決済)」と「楽天ペイ(実店舗決済)」に区別して表記されるようになっています。
楽天ペイのECでの利用ですが、2019年現在、楽天市場へ出店している全店舗に導入されている状態です。(2018年に加入全店が楽天ペイ利用へと切り替わりました。)楽天ペイの利用料は月額課金のうち楽天市場決済利用料に分類され、楽天ペイ利用料率は月間決算高により2.5%~3.5%に変動します。
楽天以外のショッピングサイトでの利用「楽天ペイ(オンライン決済)」も2017年の時点で5,000サイト以上に導入されており、楽天スーパーポイントを使用できることが大きなセールスポイントになっています。なお、利用手数料に「楽天スーパーポイント原資負担分 1.0%」が加算されます。
次にApple Payです。今回サービスをまとめた中ではApple Payだけが異色のサービスです。
楽天ペイやAmazon Pay、後述のLINE PayやPayPayが所謂「コード決済」型のサービスであることに対し、Apple Payだけが「タッチ決済」型のサービスになります。では、それぞれの仕様の違いついて見ていきましょう。
「コード決済」とは、コード決済アプリでバーコードや二次元バーコード(QRコード)を読み取り、アプリに紐づけられた方法で決済するサービスです。アプリが使用可能な端末(iPhone/ Android)であれば使用端末に機種制限はありません。
「タッチ決済」とはSuica等、ICカードタイプの「電子マネー兼交通乗車券」と同じ方式のICチップがあらかじめ組み込まれた端末を使用します。iPhoneであればApple Pay、AndroidであればGoogle Payに登録したSuicaやQUICPay、iDといった電子マネーで決済するサービスです。アプリを起動する必要がなく、端末をかざしてそのまま決済することが可能ですが、使用端末が限定されます。
Apple PayのEC利用ですが、ソフトバンクペイメントサービスやGMOペイメントゲートウェイといったペイメントプロバイダ(決済代行)と併せて利用するか「FutureShop2」等のApplePay対応のECサイト構築サービスを利用する方法があります。支払い時におけるApplePayの利用によるAppleへの手数料は発生しませんが、導入ハードルの高さから使用可能なECサイトは限られている状況です。
最後にコード決済(QRコード決済)のうち、昨年一気に名を上げたPayPayと多くのユーザーを抱えるLINEが提供するLINE Payを見てみいきます。
どちらもスマホ内のアプリを通しての利用となります。使用に際しては楽天ペイアプリを新規にダウンロードする必要のある楽天ペイに対し、LINE Payは日常使いしているユーザーが多いLINEアプリ上ですぐに利用をはじめることが可能です。両サービスとも基本的には利用金額をチャージして使用する前払い方式(プリペイド型)での使用になりますが、それぞれ可能なチャージ方法や前払い以外の決済方法が異なります。
LINE PayのEC利用についてですが、申込みはオンラインからの申し込みのみです。手数料は「物販/サービス 3.45%(税別)」「デジタルコンテンツ 5.5%(税別)」と物理的商品の場合にはAmazonPayよりもお得です。
PayPayについてはECでの利用が2019年2月から一旦延期となりましたが、2019年6月から「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」での利用が可能となりました。こちらは利用可能なモールがYahooに限定はされますが「決済手数料:税別3.0%(税込3.24%)」とさらにお得になります。
実店舗での決済についてもECでの決済についても同様ですが、ショッピングモールの利用状況や使用端末、所持カード等によって利用者それぞれにとって利用できるサービス/できないサービス、お得なサービス/それほどメリットのないサービスが様々に枝分かれしていく状況が垣間見えてきました。
弊社運用サイトでは今回再確認してまいりましたAmazonPayや楽天ペイ等、様々な決済手段を使用しております。利用者それぞれにとって最善のサービスが異なる状況ですので、ECにおいては準備可能な各決済手段をできるだけ設けておくことも顧客のニーズを満たすこととなり、購入率の増加につながっていくことが望めます。
ご興味を持たれた方は是非ご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
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